あの日、言えなかった言葉がある。
「好きやねん」の5文字よりも遠く、
空の青よりは近い距離。今にも心から溢れ出しそうな、
想いの詰まった声がその背中には届かない。大好きだバカヤロー!映画「百瀬、こっちを向いて。」は切ないウソから始まる初恋の物語。
ウソから始まってウソで気持ちをごまかして、ウソで傷ついてウソで傷つけられて、ウソで強がってウソに縛られて…。でも、いちばん大きなウソをついてるのは誰あろう自分自身なんだよね。
好きな人と想いが重なる瞬間が一秒でもあったらそれで幸せなのが恋なんだとしたら、その一秒はあまりにも痛くて苦しい。でも、好きになっちゃったらどうしようもない。
言葉にできない片想いだからこそもどかしく、たとえ一瞬でもこっちを向いてくれたら…それだけでもう十分。
いや、それはやっぱ強がりで、一秒後に訪れるのは愛おしい笑顔の残像。
天使のように優しくて悪魔のように残酷。そんなアンビバレントで自由奔放な女子に翻弄されても好きになったら何でもしちゃうもんなー。
ささくれ立つ痛みがあっても、気がつけば笑って許しちゃうもんなー。
青春あるある。
恋愛あるある。心の奥にしまい込んだメモリーが鮮やかによみがえってくる。
時が経つほど本当以上に美しくなっていく思い出は決して上書きすることはない。
叶わなかった想いほど強く深く心に刻まれてるもんだから、
その時の胸の痛みは忘れても記憶はあの日のまま。
そう…でも、それでいいんだ。
それでいいんだ。
どこか岩井俊二的な映像美と空気感で
まぶしい青春の真っ只中を描いてみせた耶雲哉治監督…また天才が現れた。
自分勝手で自己中に人を傷つけながら、どこか儚げで憎めないキュートなオーラを放つヒロインを演じた元ももクロの早見あかり…ボブが可愛すぎる~♡
未だに「ウレロ」シリーズの勝ち気な印象が拭えないけど、この作品ではそんなイメージも逆に活かされてました。
石橋杏奈もすごくいい。
そんなわけで、WEAVERの主題歌もドンピシャで、
甘酸っぱくてほろ苦い青春と初恋のノスタルジーを感じさせてくれる作品でした。
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