「テロ,ライブ」
もしかしてもしかすると実はすぐ傍にあるかもしれないこの世の終わり。
そんなことをなんとなくぼんやりと感じながら、
それでも世界のどこかで今なお絶えない紛争には無関心で耳を傾けず、
常軌を逸した猟奇的犯罪には目を背けることで、
どこか自分とは違う異世界の出来事のように思い込み、
自分は当たり前のように今日も明日もこの先もずっと続くと信じて疑わない、
平和な日常を生きる。
しかし、この作品はそんな平和な日常を凄まじい破壊力で、
一瞬のうちに木っ端微塵にぶち壊し、目の前に映し出されるショッキングなニュース映像は否応なくリアルな恐怖感をガンガン煽ってきます。
ラジオの生放送中に爆弾テロからかかってきた1本の電話。
要求は大統領の謝罪のみ。
いたずら電話かと思ったキャスターがろくに相手もせずに電話を切ったその瞬間、
漢江の麻浦大橋が大爆発!
こんな未曽有の大事件なのに…
いや、だからこそ一世一代の大チャンスとばかりに自分の独占スクープにして、
テレビの花形に返り咲こうと考えた元国民的人気のキャスターの魂胆が悪夢の始まり。
報道局長と取り引きしてテロとの通話を独占生中継しようとしたことが、
私利私欲にまみれたえげつない惨劇の始まり。
こいつら、どいつもこいつも人間として最低。
そして、渦巻くように止まらない駆け引きの中で出てくる、
テロ対策のプロと警察庁長官がまた愛国心そっちのけで醜い舌戦。
どちらが立場が上なのか分からないけど、
明らかに挑発的なその対応はまずいだろって感じ。
まともな対応もできずに刻一刻と逼迫していく状況の緊迫感はヒリヒリするし、
自らの野心が招いた結果とはいえ、
得意げにテロリストを追い込んでるつもりが逆にどんどん追い詰められて、
吐き気を催すほどうろたえるキャスターの焦燥感はスリリング。
次の一手がまったく読めないくらいノンストップのハラハラ感に圧倒されっぱなしで突き抜けるリアルタイムな90分。
ハ・ジョンウの迫真の演技が素晴らしく、
まさに今そこにある危機として現実味がありました。
ま、一番恐ろしいのは視聴率しか頭にないメディアですけどね。
こんな結末、見たことない。
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