変な女がいる
面白そうだ(byテス)
とてもカッコいい男でした
私の妹を殺した奴は(byポクスン)
その怪物…凶暴につき
血も涙もない冷酷無比な殺人鬼vsその殺人鬼に大切な妹を殺された姉+心のよりどころだった姉を殺された幼い妹という1対2の変則マッチメイク…さて、生死を賭けたバトルの勝敗の行方は?
なーんて、まるで果てなく続く攻防を描いたアクションスリラーかのような宣伝してるけど、
意外にあっさりと決着がつく淡白な消化試合でした。
「悪魔を見た」の悪魔が誰の心の中にもいるかのような存在だったように、
この作品における怪物は殺人鬼テス(イ・ミンギ)自身はもちろん、
復讐を誓ったポクスン(キム・ゴウン)だって怒りに狂ったモンスター然としていて、
もともとは理不尽な悲劇に見舞われたヒロインだったのに、
復讐を諦めない執着心が心の中に潜んでる怪物を覚醒させたって感じ。
怖いのはむしろ怪物を生み出す感情のタネは心の奥底に誰もが持ってるってこと。
自分だって明日怪物になる…かもしれないわけだもんね。
ただ、
いかにも田舎者なポクスンは追い詰められた瞬間だけ必死の形相した怪物になるけど、
素顔は小生意気なおてんば娘。
無表情で寡黙なテスも不遇な環境が暗い影を落としただけで、
実は心根は優しいんじゃないかと思わせる雰囲気があるんだよね。
まっすぐな瞳は心底から愛情を欲してる感じだもん。
演じる2人のキャストの技量も大きいけど、
それぞれの理由で怪物となって相手を殺さなくてはいけないのは見ていてツライ。
もしも大切な人を殺されなければ…
もしも愛情あふれる家庭で育っていれば…
怪物は生まれなかったかもしれません。
ポクスンの言動が完全にコメディだから、
そういう意味でこの作品はアクションスリラーではなくサスペンスコメディと言わざるを得ない(笑)
ちょっと全体的にどっちつかずな中途半端感があってうまくまとまってないところが残念。
花はしおれて枯れるもの
それを悲しまないで
いつか希望が生まれてくる
時が来たらまた花を咲かせるから
どうか嘆かないで
「怪しい彼女」は怪しくない。
韓国のラブコメはやっぱ楽しいだけじゃなく、
しっかりと泣かせてくれるところがラブコメ王国たる所以。。
口の悪い70歳の老婆が地元であまり見かけない写真館で自分の遺影を撮影したら、
あら不思議!
気がつけば20歳の頃の自分の姿になってたという、
「転校生」の男女入れ替わりをアレンジしたパターンなんだけど、
そんな使い古されたファンタジーを今更やって何が面白いの?って感じで見始めました。
ところが、この老婆が今置かれてる立場とか女手ひとつで子育てに苦労したエピソードが明らかになっていくのと比例するように右肩上がりでどんどん面白くなっていくんですよね。
それはこのスーパーポジティブな老婆の魅力でもありますが、
20歳になって現代風のファッションで着飾る娘
でも、実は心は老婆
という見た目とのギャップが醸し出す空気感が作品全体の雰囲気を明るく楽しくさせます。
口の悪さも愛情の裏返しなんだもん。
憎めないったらありゃしない。
あー、楽しかったー♪
…ってそれだけでは終わらないのが韓国製ラブコメの底力。
ひょんなことから成り行きで孫がリーダーを務めるパンクバンドのボーカルになっちゃったこの老婆がまためちゃめちゃ歌が上手くて、パンクバンドだったのがいつの間にか昭和歌謡的な音楽をアイドルチックにフリフリやって、気がつけばポップロックって感じ。あれよあれよという間にアマチュアから超人気バンドになるわ、そこでプロデューサーとの愛が芽生えちゃうわ、
婆さん、まさかの人生グラフが赤丸急上昇フルテンダー!
これがまた正体は老婆という後ろめたさもありながら、
死に別れた夫との悲恋も相まって、婆さんなかなかじれったいんだけど、
前に一歩踏み出せない彼女の気持ちもよく解るんですよ。
ある衝撃的な出来事があってからクライマックスに向けてのシークエンスではもう完全に崩壊した涙腺から涙が止まらない。
とくに息子の言葉が…うぅ、大号泣。
そして、ちょいちょい小笑いを挟んでくるおじさんが最後に爽やかな大笑いをかましてくれるところなんてサイコー!
さりげなく高齢者問題も盛り込んであるところも拍手もんで、
笑えて泣けて爽やかな感動もんでした。
人生は何度やっても素晴らしい!
うらやましいな。
兄貴は生きたまま生まれ変わるんだ。
またしてもタイトルシークエンスでガッツリと鷲掴みにされましたよ。
韓国裏社会のノワールだけど、
「ハイヒールの男」というタイトルから「もしやこの男…?」
と思って見始めたらすぐさま「やっぱりかい!」って秒速のツッコミ入れちゃった。
さすがにこのタイトルはあかんぜよ。
原題は「ハイヒール」なんだからせめてそのままにしておくれやしてごめんやして。
拳銃もナイフも何もなくたって、この男には素手がありゃいい。
鍛え抜かれた強靭な肉体と俊敏でしなやかな動きで無数のヤクザを容赦なく次々となぎ倒す刑事ユン・ジウク(チャ・スンウォン)には弱点なんてどこにもない…はずだったのに、実は誰よりも“女”になりたいという心に秘めた願望があって、屈強でワイルドな刑事から妖艶で玲瓏たる美女の表情に変わる瞬間はなんだかぞくぞくぅ…そう、彼はトランスジェンダーの刑事だったわけです。
ホルモン注射の効果確認で胸元を見られることを嫌がる仕草なんて可憐な女子そのものだけど、女装して外に出るのはまだまだ恥ずかしさがあって、女になろうとしながらも胸を張って堂々と女にはなり切れない苦悩が行間から溢れてるんですよね。
その最たるものが化粧を全部落とし切れずに急遽現場に駆けつけたところで、
目の下にラメが残ってることを指摘される場面。
<彼>にとっては否応なく男として振る舞わなきゃいけない男性性の虚しさと儚さがあり、
性同一性障害の<彼女>にとっては女性性としての生きづらさがあり、
体はムキムキの男でありながら心は繊細な乙女であるということの苦しみが痛い痛い痛い。
弟分のジヌ(コ・ギョンピョ)がすごくいいやつで、
最初はその事実を受け入れられずにいるんだけど、
兄貴の美しさを認めてからの上記のセリフがなんとも切ない。
少年期に芽生えたBL的な感情を何度となく回想としてインサートしながら、
チャンミ(イ・ソム)との関係を少しずつ明らかにしていくので、
グイグイと引き込まれながらアクションアクションの連続に圧倒されっぱなしでした。
とくに傘をさしたまま雨に濡れることなくダンスのような舞いでヤクザを倒していくアクションは美しかった。
特集上映という形でしか公開されなかったけど、
トコトンまで振り切る韓国映画のフルスイングは凄まじい破壊力。
ご訪問ありがとうございます。
「恋愛の温度」のレビューは大幅に加筆修正して、
下記のサイトに引っ越しました。
今後ともよろしくお願い致します。
映画中毒者の独白⇒イ・ミンギ主演「恋愛の温度」から読み解く恋愛の真実とは?
「テロ,ライブ」
もしかしてもしかすると実はすぐ傍にあるかもしれないこの世の終わり。
そんなことをなんとなくぼんやりと感じながら、
それでも世界のどこかで今なお絶えない紛争には無関心で耳を傾けず、
常軌を逸した猟奇的犯罪には目を背けることで、
どこか自分とは違う異世界の出来事のように思い込み、
自分は当たり前のように今日も明日もこの先もずっと続くと信じて疑わない、
平和な日常を生きる。
しかし、この作品はそんな平和な日常を凄まじい破壊力で、
一瞬のうちに木っ端微塵にぶち壊し、目の前に映し出されるショッキングなニュース映像は否応なくリアルな恐怖感をガンガン煽ってきます。
ラジオの生放送中に爆弾テロからかかってきた1本の電話。
要求は大統領の謝罪のみ。
いたずら電話かと思ったキャスターがろくに相手もせずに電話を切ったその瞬間、
漢江の麻浦大橋が大爆発!
こんな未曽有の大事件なのに…
いや、だからこそ一世一代の大チャンスとばかりに自分の独占スクープにして、
テレビの花形に返り咲こうと考えた元国民的人気のキャスターの魂胆が悪夢の始まり。
報道局長と取り引きしてテロとの通話を独占生中継しようとしたことが、
私利私欲にまみれたえげつない惨劇の始まり。
こいつら、どいつもこいつも人間として最低。
そして、渦巻くように止まらない駆け引きの中で出てくる、
テロ対策のプロと警察庁長官がまた愛国心そっちのけで醜い舌戦。
どちらが立場が上なのか分からないけど、
明らかに挑発的なその対応はまずいだろって感じ。
まともな対応もできずに刻一刻と逼迫していく状況の緊迫感はヒリヒリするし、
自らの野心が招いた結果とはいえ、
得意げにテロリストを追い込んでるつもりが逆にどんどん追い詰められて、
吐き気を催すほどうろたえるキャスターの焦燥感はスリリング。
次の一手がまったく読めないくらいノンストップのハラハラ感に圧倒されっぱなしで突き抜けるリアルタイムな90分。
ハ・ジョンウの迫真の演技が素晴らしく、
まさに今そこにある危機として現実味がありました。
ま、一番恐ろしいのは視聴率しか頭にないメディアですけどね。
こんな結末、見たことない。
誰も少女を救えない。
何も悪くない少女を誰も守ってくれない。
大人も…そして、社会も。
「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」
密陽女子中学生集団性暴行事件をモデルにした作品なんだけど、
何も悪くない性犯罪の被害者がセカンドレイプに遭うのは見ていてツライだけで涙は出ない。
悲しみと憤りを通り越してやるせない。
大人はクズばかりで、
社会は懸命に生まれ変わろうとする少女を許さない。
あー、なんてこった…これじゃ救いがないじゃないか。
加害者が守られるという真実。
被害者がさらに苦しめられるという事実。
直接的な描写は控えめに時折インサートして、
現在と過去の時間軸を交錯させながら物語はゆっくりと進行していきますが、
予備知識ゼロで見たら中盤あたりまで状況がつかめません。
いわゆるシャレードなので状況描写から読み取るしかないのですが、
泳げない少女がプールで何度も何度も何度も泳ぐ練習を繰り返す理由が明らかになった時の衝撃は言葉では言い表せないくらいハンパない。
彼女の言う通り彼女は何も悪くないのに、
しつこくつきまとう忌々しい過去が友達と過ごすほんの束の間の“今”の楽しみさえ一瞬でぶち壊すわけで、いったいどれだけ傷をえぐって深くすれば彼女は苦しみから解放されるというのか。
被害者だけが転校を繰り返し、
自分を守るために素性を隠して生きていかなきゃいけないなんて、
こんな理不尽な世の中に誰がしたんだ?
繰り返しますが、彼女は何も悪くない。
真っ当な正義感をぶつけたら反感を買って43人もの獣に輪姦された事件の被害者なのだ。
その圧倒的な事実を無視して、
加害者の「強姦ではなく同意の上」という真実をでっち上げるような、
クズな大人ばかりでは少女は救われない。
誰も守ってくれないという現実がただただツライ。
またとんでもない韓国映画を見てしまった気分。
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